「ウィズコロナ」の時代。
外食産業を担う卒業生たちは、今どのような心持ちでビジネスをしているのでしょうか？最前線で活躍されている卒業生にヒントをもらうべく、SEVEN STEPS COFFEE CLUBオーナー酒井 瑞枝さんにインタビューを行いました。
＜在校中について＞
――― レコールバンタンキャリアカレッジでのコース名を教えてください。
2019年の４月に入りました。入学当初は、ＪＢＡバリスタライセンスコース と、ロースト＆ブリューを半年間受講しました。
また、焙煎の技術を磨いて感覚を鍛えたいなと感じていたので、ロースト＆ブリューについては追加のクラスを３ヵ月間受講しました。
応用コースは学生２名だったので、より細かく佐々木講師の指導を受けることができました。焙煎は、たった１度とかほんの１秒の違いが、ダイレクトに味に反映されます。なので、応用編を受講したことで、舌も鼻もより鍛えられたと思います。基礎クラスとは内容も異なるので、オススメです。
――― クラスは何名くらいでしたか。またスケジュールについてもお教えください。
週１回、日曜日のクラスでした。午前中のコーヒースペシャリストの授業は18名ほどのクラスで代官山・レ―ヴ校舎で受けました。午後の焙煎のクラスは、クラスメイトは13名ほどで恵比寿・ボヌール校舎で受けていました。
――― レコールバンタンキャリアカレッジ東京校を選ばれた理由を教えてください。
私自身、飲食の経験がなかったのですが、開業するにあたって必要な知識を学べると感じたから。ネットやカタログを拝見して、いくつか見る中でもすごく良さそうだと感じました。
また、スタッフさんも入学前から丁寧に分かりやすく説明してくれました。実は主人も、2019年10月からコーヒースペシャリストコースに通ったほどなんですよ。
アクセスの良い場所に校舎があるので通いやすかったですし、よく出かける場所でなじみがありました。
――― 飲食業界のご経験がないとのことでしたが、これまでのキャリアについてお聞かせいただけますか。
会社員でした。21年間、事務や窓口対応などをしてきました。昔から喫茶店巡りが趣味で、コーヒーは大好きでした。
主人は、美容室を経営しているのですが、彼もコーヒーが好きで、焙煎所も備えたコーヒースタンドを併設したいと思っていたんですよ。ですが、店舗併設となるとお店の広さや設備など色々なことを考えた時に制約が出てきてしまうので、飲食店を始めるなら独立した形がいいなという結論に至ったんです。
――― なるほど！そうだったんですね。レコールバンタンキャリアカレッジに入学して、
学びたい、身につけたい目標は何でしたか？
コーヒーで独り立ちできる、ということでしょうか。入学当時は、焙煎にちゃんと向き合いたい、美味しいエスプレッソを提供できるバリスタになりたいと思っていましたが、今思えばやや不明瞭なところがありましたね。通い始めてから、目標がより明確になっていったと感じます。
――― 印象的だった講師、授業はありますでしょうか
コーヒースペシャリストコースの篠崎講師、焙煎の授業の佐々木講師です。
レコールバンタンキャリアカレッジの講師は、技術も教え方も素晴らしく「この方たちを目指せばいい」というゴールを、ちゃんと見せてくださっていると思います。そういう意味でも、一回いっかいの授業は宝物でした。佐々木講師には卒業後も、焙煎機選びのアドバイスをいただきました。
――― レコールバンタンキャリアカレッジでの学びが「実践的だった」「今のビジネスに活かされている」と感じることはありますか。
ほとんど全部だと思います（笑）。例えば、機材ひとつを選ぶにしても、このメーカーであれば間違いないという基準も知れました。経験値を積んだうえで開業される方が多いと思うのですが、私のような未熟者でも開業のための知識、コーヒーとの向き合い方などを学ぶことができました。
――― 印象的だったイベント、販売実習などはありますか。
ロースト＆ブリューのクラスで、販売実習を行いました。
校舎で、実際の店舗と同じように、エスプレッソ系ドリンク、ハンドドリップを提供し、コーヒー豆も販売しました。２時間限定の営業でしたが、たくさんのお客様が来てくださってとても実践的でした。また、お客様への対応の仕方、ショップ運営の段取りが身に付いたと思います。
――― 在学中、アルバイトなどで飲食業界の経験をされていましたか？
コーヒー関連のアルバイトは経験していませんが、友人が主催するイベントのお手伝いを経験しました。
小さなイベントですけれど、どう企画するのか？事務作業から、役所とのやり取り、出展料の設定、お店の配置、誰に出店してもらうか、チラシからSNS告知までトータルで関わることができたので、得るものが多かったです。運営側だったからこそ、どの店舗からどれくらいの売上げが出るのかも知ることができました。ボランティアだったのでお金は出ませんでしたが、経験できたことは今に活かされています。
＜卒業後について＞
――― 開業された経緯をお教えください。
2020年7月15日にスタートしました。資金調達など、新型コロナの影響で事務的に開業が延びてしまいました。業者さんには、支払えるところには支払いながらのスタートとなりました。
――― 場所、店名、コンセプトについてのこだわりをお教えください。
＜場所＞
店舗は、自宅から歩いて１～２分の場所になります。築40年以上という古い建物ですが、これまでの土地の経緯も知っているので安心感もありました。場所については、お家賃なども含めて決めています。
＜店名＞
名前は、ジャズトランペッターのマイルス・デイヴィスの『Seven Steps to Heaven』というアルバムから拝借しています。ローストというキーワードを入れようか悩んだんですが、敷居を低めにして、クラブ活動のように気軽に楽しんで来てもらえるようにと、SEVEN STEPS COFFEE CLUBと名付けました。
＜コンセプト＞
飲食店として登録していますが、「焙煎所に店舗がついている」イメージです。内装業者さんは、オシャレな店舗を数多く手掛けているモーブレーワークスさんにお願いしました。主人が好きなお店を手掛けているのが、モーブレーワークスさんだったので。設計士さんや、バリスタの友人の協力もあってカウンター裏はとても動きやすい動線になっています。また、ロゴデザイナーさんも、モーブレーさんにご紹介いただきました。
――― 特にオススメのメニューについてお教えください。
エスプレッソ系ドリンクですね。ウチは真逆なことをやっていて（笑）。エスプレッソ系はこってりというか、比較的ダークな感じです。対してハンドドリップなどのフィルターコーヒーはクリアな味を求めています。特に、ハンドドリップは、PASSAGE COFFEEさんの思想を崇めているので、クリアな味を探求しています
豆は５種類を揃えていて、１～２週間ごとにラインナップは変わります。スペシャリティコーヒーなので、産地、農園、国別など、見せ方も工夫しています。
――― おやつも美味しそうですね。
ありがとうございます。もともとは、趣味でお菓子作りをしていたんですよ。アイスクリームは仕入れていますが、他は手作りなので提供する個数は日によって変わります。おおよそですが……チーズケーキは６個、プリンは８～12個、クッキー12枚前後。手の込んだものというよりも、オーソドックスなレシピで作っています。
――― 開業されて経験されたご苦労についてお聞かせください
開店して一か月半になりますが、昼は営業して、夜はプリンを焼いてと、時間の上手な使い方を考えているところです。自分の時間が少ないですが……デザートの仕込みに慣れれば、もう少し変わってくるかもしれません。
――― コロナウィルスの流行で、工夫された点、心がけていらっしゃることについてお教えください。
スタッフは、必ずマスクを着用しています。販売カウンターにはアクリル板を設置していて、出入口にはアルコールジェルを置いています。
店舗設計は、コロナ流行以前にしたものなので、窓は開かないんですよ。なので、サーキュレーターと換気扇を常に回してドアも開けています。以前は密集した座席配置でしたが、可動式のテーブルとイスとで最高８席になるようにしています。テーブル２つ、椅子はそれぞれ３席置き、カウンターには椅子を２席にしています。また、外にもベンチを置いています。お客様は店内を見て、空いている席がなければテイクアウトされるので自然な流れができているように思います。
また、来月中には、オンラインショップも開設してコーヒー豆の販路にも力を入れていく予定です。焙煎して豆を販売することを、大事にしていきたいです。どれも経験がないので、色んな店舗さんの方法を参考にさせていただきながら始めていきたいと思います。
――― 飲食ビジネスの面白さ、喜びについてお教えください
「おいしい」、「こんなコーヒー飲んだことない！」、「可愛い」といったお客様の声が聞こえてくると、カウンターにいながらも「やった！」と思いますね。
写真を撮影しながらキャーキャー盛り上がりながら味わっている皆さんの姿を見ると、やっていて良かったなと思います。
――― 飲食業界で活躍するうえで必要なことはどのようなスキルだとお感じでしょうか？
体力は大事です。
あとは、どこをこだわって、利益優先で出すメニューと、利益は少なくてもこだわりたいメニューとのバランスを意識しておく必要はあります。
例えば、ウチはタカナシ乳業さんのアイスクリームを使っています。アイスは綺麗に盛れば終わりですが、プリンなどは手間がかかります。バニラビーンズもどこまでいいものを使うのか？チーズケーキのクリームチーズもどのグレードのものを使うのかによってコストが変わってきます。コーヒーの味合わせも同様で、エスプレッソもコーヒーの粉をどのくらい使えばいいのか？浪費しないようにしなくてはなりません。開業したばかりなので、おこがましいことは言えないですが、利益率とこだわりのバランスを取ることは大事だと思います。
――― ありがとうございます。最後に、レコールバンタンキャリアカレッジへの入学を検討されている方に、ぜひ前向きなメッセージをお願い致します！
世界レベルのプロフェッショナル講師から、道順立てて教えていただけることは、他のスクールでは得られない経験だと思います。ぜひ、一つひとつのクラスを大事に受講してほしいです。あとは、基礎知識として身に着けたいのか、お店を持ちたいのか、バリスタになりたいのか、目標が明確にあればあるほど講師が何気なく伝えてくれる『一言の重み』が実感できると思います。私自身も、講師が話してくれた言葉を今でも覚えていますし参考にしています。興味がある方はぜひ通われてみたらいいと思います。
SEVEN STEPS COFFEE CLUB
〒263-0041 千葉県千葉市稲毛区黒砂台１丁目11−21 １Ｇ
定休日：木曜日
https://www.instagram.com/sevenstepscoffeeclub/
